
住宅ローンの相談に行くと、短い時間の中で聞き慣れない言葉が次々に出てきます。固定、変動、団信、返済比率。どれも返済の金額そのものを左右する言葉ですが、その場で意味を確かめないまま話が進んでしまうことが少なくありません。
住宅営業の立場で資金の話に同席していた経験から言うと、言葉の意味を先に知っている方と、その場で初めて聞く方では、提示された返済計画に対する質問の数が違ってきます。ここでは、住宅ローンでよく出てくる言葉を、意味と注意点の順に整理します。
金利の種類に関する言葉
固定金利
借り入れたときに決まった金利が、完済まで変わらない型です。返済額が最初から最後まで一定なので、家計の見通しを立てやすくなります。一方で、変動金利と比べると、借り入れの時点での金利は高めに設定されるのが一般的です。
変動金利
市場の金利に合わせて、返済の途中で金利が上下する型です。借り入れ時点の金利は固定金利より低く設定されます。ただし金利が上がった場合、返済額も増えます。多くの金融機関では、返済額の見直しを5年ごとに行い、上がり幅にも上限を設ける仕組みを置いています。急に倍額になる型ではありませんが、増える可能性そのものは残ります。
固定期間選択型
最初の一定期間だけ金利を固定し、その期間が終わった時点で、改めて固定か変動かを選び直す型です。3年、5年、10年といった区切りが用意されています。固定の期間が終わったあとの金利は、その時点の水準で決まります。つまり、将来の返済額は今の時点では確定しません。
この3つは、どれが得かを先に決められるものではありません。金利の先行きは予測の対象であって、計算の対象ではないためです。判断の軸は「金利の上下に家計が耐えられるか」に置くのが現実的です。
借入額に関する言葉
返済比率
年収に対して、1年間の返済額がどれくらいを占めるかを示す割合です。返済負担率とも呼ばれます。年収500万円の方が年間100万円を返済する場合、返済比率は20パーセントとなります。
注意したいのは、この計算に住宅ローン以外の返済も含まれる点です。次のようなものが対象に入ります。
- 自動車のローン
- 教育ローン、奨学金の返済
- カードの分割払い、リボ払い
- 携帯端末の割賦(分割で払っている本体代金)
これらが残っていると、その分だけ住宅ローンに回せる枠が減ります。本人が借金と考えていないものまで含まれるため、相談に行く前に、支払いの残っているものを一度書き出しておくと話が早く進みます。
借入可能額と返済可能額
借入可能額は、金融機関の審査で「貸せる」と判断される上限の金額です。返済可能額は、家計の中で無理なく払い続けられる金額を指します。この2つは別ものであり、多くの場合、借入可能額の方が大きく出ます。
審査では、現在の年収と、現在の借入状況が見られます。将来の教育費や、車の買い替え、親の介護といった出費は計算に入りません。上限いっぱいを借りた方が、数年後に返済の見直しに追われる例は、現場で何度も見てきました。
保険に関する言葉
団体信用生命保険(団信)
借りた方が亡くなった場合や、所定の高度障害の状態になった場合に、保険金で住宅ローンの残りが返済される仕組みです。団信と略して呼ばれます。民間の金融機関では、加入が借り入れの条件とされているのが一般的です。
通常の団信の保険料は、金利に含まれる形になっています。別途支払う形ではありません。これに対し、がんや三大疾病への備えを上乗せする型を選ぶ場合、その分だけ金利が加算されます。上乗せの幅は金融機関によって異なります。
すでに生命保険に入っている方は、団信と保障の中身が重なることがあります。住宅ローンを組む時点で、加入中の保険を一度見直す価値があります。
支払いのタイミングに関する言葉
つなぎ融資・分割融資
注文住宅では、工事の進み具合に合わせて、着工金、中間金、最終金という形で複数回の支払いが発生します。一方、住宅ローンの融資が実行されるのは、原則として建物の引き渡しのときです。この間の支払いを埋めるための借り入れが、つなぎ融資です。
分割融資は、住宅ローンそのものを複数回に分けて実行する方式です。どちらを扱っているかは金融機関ごとに違い、手数料の金額にも差が出ます。土地から取得する場合、この確認を早い段階で済ませておく必要があります。
返済の方法に関する言葉
元利均等返済と元金均等返済
元利均等返済は、毎月の返済額が一定になる方式です。返済の初期は利息の割合が大きく、元金はゆっくりとしか減りません。元金均等返済は、元金を均等に割り、そこに利息を加える方式です。最初の返済額は重くなりますが、総返済額は少なく収まります。
繰り上げ返済
毎月の返済とは別に、まとまった金額を返して元金を減らす方法です。返済の期間を縮める型と、毎月の返済額を下げる型の2つがあります。前者の方が、利息の軽減の効果は大きくなります。
住宅の性能に関する言葉
住宅ローンの説明の中で、建てる住宅の性能について聞かれることがあります。一定の性能を満たした住宅には、金利の優遇や、借入期間の条件で扱いが変わる制度が用意されているためです。長期優良住宅の認定基準を押さえておくと、その優遇の対象に入るかどうかを、設計の段階から判断できます。
この話は、資金の計画と建物の仕様が一本につながる場面です。ローンの条件だけを先に詰めても、建物側が基準を満たしていない場合、優遇は受けられません。
また、工務店が自社の家づくりで何を大事にしているかを先に読んでおくと、性能に関する説明をどこまで自社の言葉でできる会社なのかが見えてきます。
まとめ:言葉を知ってから、金額の話に入る
住宅ローンで出てくる言葉は、どれも返済の金額に直結しています。金利の型で毎月の額が決まり、返済比率で借りられる枠が決まり、団信で万一のときの扱いが決まります。
金融機関の窓口は、質問に対しては丁寧に答えてくれます。質問が出てこない部分は、そのまま流れていきます。言葉の意味を先に押さえておくことが、その場で質問を出すための準備になります。
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